総務省は何が何でも大手キャリアを抑え込みたいようです。

首相自ら「我が国の携帯料金は高すぎる」と発言したからには、行政としては首相に「忖度」して何とかして携帯料金水準を下げずにはいられないのは当然の方針です。

 

既報の通り、総務省では2017年12月~2018年4月にかけて「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を開催し、有識者をはじめ大手キャリアやMVNOからの意見聴取を行い、報告書をまとめました。

※詳細は「大手キャリアのサブブランド優遇問題に出した総務省の結論とは」をご参照ください。

 

また、2018年4月~5月にかけては、公正取引委員会による「携帯電話分野に関する意見交換会」が開催され、総務省の方針をバックアップ、行政全体として大手キャリアの寡占解消に向けて取り組む姿勢を見せています。

※詳細は「公取委が大手キャリアの接続料金にメス!MVNOの言い分は通るのか?」をご参照ください。

 

さらに、4月末には野田総務大臣が記者会見において、大手キャリアの契約形態が「利用者の不測の費用負担を求めることになりかねない」として行政指導を行う旨を発言、その後、実際に6月に入り大手キャリア3社に対して行政指導が行われた事はまだ記憶に新しい処です。

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今回は、こうした行政による大手キャリア締めつけの姿勢と実際に行われた行政指導の内容、中でも、いわゆる「4年縛り」と野田総務大臣が表現した契約形態の問題についてチェックしてみたいと思います。

 

2018年6月の総務省行政指導の内容とは

総務省より出された2018年6月6日の行政指導は2件でした。

 

モバイル市場の公正競争促進に関する大手携帯電話事業者への指導等

総合通信基盤局から出された行政指導で、前文として以下のように書かれています。

≪以下引用≫

総務省は、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の取りまとめを受け、本日、大手携帯電話事業者に対し、モバイル市場の公正競争促進に関する必要な措置を講ずるよう指導等を行いました。

≪引用ここまで≫

 

NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク各キャリアに向けて出された指導は以下の通りです。

①    MNPの円滑化 ※1
詳細 MNPの際に強引な引き留めが行われずに事業者間移転が可能となる手続きを確保されたい。

WEB上でMNP手続きが行えないのであれば、31年5月末までに可能とする措置を講ずる。

②    HLR/HSS連携機能 ※2
詳細 MVNOから要望によりHLR/HSS連携機能の提供について協議する場合には、MVNOが負担する金額及びその根拠や適性性を明らかにし、MVNOに書面で説明することとする。
③    迷惑フィルターの設定
詳細 MVNOが、自社(ドメイン)メールが受信拒否とされない事を要望する場合には、セキュリティ確保の要件を満たす限りこれに応じると共に、MVNOに対してその基準を提示すること。
④    ネットワーク制限端末の情報公開
詳細 ネットワーク制限対象端末の情報を支払い・不払いが確認された翌々日までに情報公開用WEB上に情報公開する運用を引き続き継続すること。
⑤    利用期間拘束の問題 ※3
詳細 利用期間拘束(2年契約)及び自動更新を伴う契約について、平成31年3月までに、契約期間満了時に違約金及び25カ月目の通信料金のいずれも支払わずに解約できるような措置を講ずること。
⑥    利用者の利用実態に合わせたサービス選択
詳細 利用者の利用実態に応じたサービスを選択できるような措置を講ずること。

・実際のデータ使用量とプランが乖離している場合には、利用金額が適正となるプランを案内する。

・契約時以外で、プラン見直しに関する相談の機会を充実させる等、利用者のリテラシー向上や理解促進に向けた施策を実施すること

 

※1:解約・MNP転出時の大手キャリアによる引き留めについて言及したものです。大手キャリアをやめないよう引き留める事について書かれていますが、サブブランドやグループ内MVNOへの誘導についても含まれるのかどうかは判然としません(当然含まれると解釈してよいとは思います)。

ただ、もし含まれるとしても、純然たるサブブランドであるY!mobileと、立場的にはサブブランドでも、実際には別会社のグループ内MVNOであるUQmobileでは微妙な違いがあるように思いますが、その辺りへの言及は見当たりませんでした。

※2:HLR/HSS連携機能は、「加入者情報管理装置」と呼ばれるもので、IIJのようなフルMVNOとして事業を行う際に必要となる機能ですので、一般の消費者には直接関係はない項目です。

とは言え、フルMVNOへの敷居が低くなれば、ユーザーメリットも大きい事から推進して欲しい施策です。

※3:まさにこの項目が5/24の野田総務大臣の記者会見での発言に係る問題です。現状では、2年契約と言いながら、実際には25か月目・26か月目を更新月と定め、この2か月以外での解約やMNP転出には違約金が発生するのはもちろん、解約・MNP転出可能としている更新月であっても月間のプラン基本料等の料金が発生する仕組みになっています。

これに対し、行政指導では、2年契約満了時に違約金も通信料金、いずれも支払わずに解約・MNP転出が可能な措置を平成31年3月までに講ずる事を求め、その取り組みについてはこの6月末までに報告せよと求めています。

 

出典:http://www.soumu.go.jp/main_content/000555371.pdf

 

大手キャリア3社に対して同一の内容で上記6項目を求めている訳ですが、対応措置の実施の期限を定めていますし、実施期限が平成31年にズレ込む項目については、直近の期限での報告を求める等、実現に向けた具体性を持たせた行政指導となっているように感じます。

 

ソフトバンク株式会社への別途指導

大手キャリア3社に向けた行政指導とは別途に、ソフトバンクのみに「端末の販売価格の割引等に関する販売店への対応の適正化に係る指導」が出されています。

 

これは、ソフトバンクが販売店に対し書面によって端末の販売価格の割引等の具体的な金額を提案していたことを認め、同社の端末の販売価格の割引等に関する販売店への対応の適正化を図るための措置を取るよう指導したものです。

販売店の端末販売価格を拘束し不当に同社に有利な金額に設定させる事は、電気通信の健全な発達に支障を生じさせかねないものであり、不適正な水準の「端末購入補助」の効果を持つと認定したものです。

 

指導では、

1.端末の販売価格の割引等の実質的な指示を行わないこと

2.割引等の実質的な指示が行われた原因や、今年1/1以降に他にも割引等の実質的な指示がなかったか調査を行うこと

3.これを踏まえて、再発防止策を講ずること

を求めています。

 

出典:http://www.soumu.go.jp/main_content/000555366.pdf

 

KDDI・Softbankの4年縛りの問題点

ここまで見てきたように、総務省は「2年縛り+自動更新」のプランについて、2年契約満了での「条件なし」の解約・MNP転出を求めており、平成31年3月までに総務省の指導に対応した施策を講ずることを求めています。

 

一方で、KDDI・Softbankは2年どころではなく、実質的に4年縛りに相当するような新たな仕組みを創出しており、これは総務省が求めている事に逆行するのではないか…という事が問題となっています。

 

KDDI・Softbankの4年縛りとは

ここで言う4年縛りとは、auでは「アップグレードプログラムEX」、Softbankの「半額サポート」等の、端末購入を48回分割で契約した上で、1年、または2年経過後に機種変更すれば割賦残債の半額を免除する仕組みを指します。

https://www.au.com/mobile/upgrade-program-ex/?bid=we-ipo-2017-4015

 

こちらはauの公式WEBに掲載された「アップグレードプログラムEX」の端末代金の支払いイメージです。

この図では、実際の端末の実例ではなく72,000円を仮の販売価格としており、4年間の契約期間は厳密には50カ月、支払回数は48回となります。

元本72,000円を48回分割で月額1,500円となり、これに月額360円のプログラム料金が加算され、月間の支払額は1,860円となります。

25か月目に機種変更した場合、端末代金の支払いは購入翌月から発生するため、24回の支払いは25か月目となりますが、プログラム料は初月から発生するため、24か月目までで終了します。

トータル36,000円(元本の50%)を支払い、端末は回収の上で新しい端末に交換する事ができます。

https://www.softbank.jp/mobile/special/hangaku-support/

 

こちらはSoftbankの「半額サポート」の支払いイメージです。

実際のiPhone8の価格でのシミュレーションになっており、例えば64GBモデルであれば、機種代金94,320円を48回分割にした場合の支払額1,965円に加え、「月月サポート」月額-1,605円が適用されるため、月の支払額は360円となり、25か月目に機種変更した場合の総支払額は8,640円となります。

 

これらの端末に対する支払額を見ると、確かに割安でユーザーにとっては軽い負担で常に新しい端末を使う事ができ、何も悪い事がないように感じます。

しかし、総務省が問題視しているのは、端末の価格ではなく契約期間や、下取りプログラムの継続といった部分にあります。

 

つまり、1~2年で機種変更が可能だとはいえ、機種変更を行わなければ4年間の割賦支払いは継続しますし、25か月目に機種変更を行えば、その時点から新たな「4年分割」が開始される事から、ユーザーが解約・MNP転出しにくい状況を作り出しているという点を問題視している訳です。

こうした仕組みに対して「(実質的な)4年縛りではないのか」といった批判が噴出しているわけです。

 

問題は様々あります。

 

端末は購入ではなくレンタルではないのか

4年間の割賦で「購入」したはずのスマホですが、1~2年後には機種変更をすれば、残債が免除される…と言う仕組みは、誰でも24回支払い完了時点で機種変更したくなりますが、そうすると、購入したはずの端末は必ず事業者に回収されてしまう訳で、これでは購入と言うよりレンタルではないのかと感じます。

 

格安通信に乗り換える機会は失われるのか

1~2年で機種変更できて実質半額でスマホを持てる…という部分ばかりクローズアップされていますが、実際にはユーザーはスマホの割賦契約は2年ではありません。

この事を事前にきちんと説明されているようには思えませんが、もしユーザーが格安通信に乗り換えたいと考えても、この仕組みの中ではその機会はほとんどありません。

1~2年ごとに機種変更を続けていれば、常に高額なスマホの残債を抱えて続けるわけで、無理して乗り換えれば違約金に加えて残債も請求されます。そんな支出をしてまで乗換えるユーザーはほぼいないでしょう。

 

こうした問題は確かに無視できない事は確かで、解約やMNPへの乗換えの障壁になっているという指摘は正しいとしても、一方では、この仕組みによって、最新の高額なスマホを少ない実質負担額で、常に新しい端末を持ちたいと考えるユーザーのニーズに応えているといった側面もあります。

 

もともと端末価格が割高な上に、iPhoneXが発売され端末価格が一気に高騰した結果、ユーザーが新らしいiPhoneに乗り換えにくくなったことから、こうした仕組みを歓迎するユーザーがいるのも事実なのです。

 

行政がすべき事は「解約しやすさ」なのか?

auやSoftbankのいわゆる4年縛りと見えるような新たな仕組みについて、総務省は、解約や他社への乗換えがしにくい状況になっているとして問題視していますが、果たして問題は「解約しやすさ」や「乗り換えやすさ」にあるのでしょうか?

 

と言うのも、最新のiPhoneが割安に購入でき、1~2年ごとに最新端末を手にする事ができる制度を支持するユーザーは一定数いると考えられるからです。

 

・半永久的にauまたはSoftbankを利用しようと考え、

・2年ごとに新しい端末を持ちたいと考えており、

・端末を通信会社から購入したい(請求の1本化)ユーザー

 

といったたユーザーは限定的ではあっても、彼らにとってはこうしたプランは必ずしも「悪」ではありません。

 

大手キャリアユーザーは乗換えの必要性を感じているのか

大手キャリアユーザーに対して行われたアンケート調査において、MVNOへの乗換えを実行した事がある、あるいは乗換えを検討しているというユーザーはあまりおおくありません。

 

MMD研究所が行った調査では、MVNOの存在自体は85.5%のユーザーが認識しているものの、MVNOを実際に利用していた事がある(大手キャリアへ戻っている)ユーザーは、全体の4.2%、現在MVNOへの乗換えを検討しているユーザーは全体の18.1%に過ぎません。

https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1689.html

 

考えるべきは、この「検討していない」ユーザーです。

一度でも利用し、あるいは検討した上で利用しなかったユーザーは、ある程度、MVNOのサービス内容や料金について理解した上での判断と考えられますが、一度も検討したことがないのであれば、理解した上でなのか、まったく理解していない、いわゆる「食わず嫌い」の状態なのかがわかりません。

 

プラン料金まで含めた実際の支払額を考えてみる

ここでは、大手キャリアとMVNOの実際の支払額を比較します。

iPhone8(64GB)をauの「アップグレードプログラムEX」を利用して購入し、2年間利用した場合の支払額と、AppleでSIMフリー端末を購入し、MVNOで同容量プランで利用した場合の2年間の支払額を比べてみます。

MVNOの事例には、同じ従量課金制を採用する日本通信「b-mobileS 990ジャストフィットSIMプラン」を取り上げました。

 

au Apple
端末 端末代金 91,440円 78,800円+税
48分割払い月額 1,905円 初回:4606円(※1)

2~24回:3,500円

プログラム料 390円
端末支払い月額 2,262円 初回:4606円

2~24回:3,500円

2年合計 54,288円 81,104円
端末下取り額 -(※2) 30,000円(※2)
端末コスト2年合計 54,288円 51,104円

 

au

ピタットプラン

1GB時

au

ピタットプラン

5GB時

b-mobileS

990JFsim

1GB時

b-mobileS

990JFsim

5GB時

通信 プラン料金 3,480円+税 6,480円+税 990円+税 2,990円+税
ネット接続 300円+税
5分かけ放題 込み 500円+税
月額通信料金 3,780円+税 6,780円+税 1,490円+税 3,490円+税
キャンペーン -1,000円×12+税
通信コスト2年合計 84,986円 162,768円 38,616円 77,496円

 

au b-mobileS+Apple
合計 端末コスト2年合計 54,288円 51,104円
通信コスト2年合計 84,986円 162,768円 38,616円 77,496円
総支払額2年合計 139,274円 217,056円 89,720円 128,600円
差額 +49,554円 +88,456円 -49,554円 -88,456円

金額は全て税込み表示

 

※1 Appleローンを利用した場合(現在、無金利キャンペーン中)

※2 下取り価格は、auは残り2年間の残債の支払い義務がなくなり端末は回収となるため「なし」です。Apple端末は、端末はユーザーの手元に残るため買取りによるプラスが生じます。

事例では、AppleのSIMフリー版iPhone8(64GB)の買取り額を3万円に想定していますが、実際には3~5万円程度でリセール可能と思いますし、もし仮に下取り額30,000円がないとしても、それでもMVNO+SIMフリーの方が月額でも2年間の支払総額でも割安となります。

 

このように、非常に割安に見えるauの「アップグレードプログラムEX」+「ピタットプラン」ですが、同容量をMVNOで利用した場合とではかなり大きな開きがあり、この差額は、コスト削減を優先したいユーザーであれば十分「乗換え」の動機や決め手になり得ます。

 

一方では、通信会社で端末を一緒に購入できる事や、対面式の説明・販売を重視するユーザーは、2年間の総支払額を見ても乗換えには至らないはずです。

シニア層がMVNOに興味を示さないのは、対面での説明や販売、さらに購入後のサポート等を期待するkばらであり、料金の安さは二の次という事です。

 

もちろん、「解約しやすさ」や「乗り換えやすさ」を歓迎するユーザーもいるのも確かですので、そのこと自体を否定するものではありませんが、あたかも、大手キャリアユーザーを減らすこと、MVNOユーザーを増やすといった結果ありきでの方針であるなら、それは真にユーザーのためとは言い難いような印象です。

 

そういう意味では、総務省を含めた行政の行うべき事は、「解約しやすさ」や「乗り換えやすさ」ではないでしょうし、料金が安ければ良いという訳でもないはずです。

実際に使用するユーザー一人一人のニーズに合ったプランや端末購入法が選べ、それらが広く認知・理解される事が重要ではないかと思います。

 

低料金なのか?サービス品質なのか?MVNOの選択肢

決して大手キャリアの全てを肯定する訳ではありませんし、筆者自身がMVNOユーザーであり、MVNOサービスの拡充を願う者ではありますが、それでも現状のMVNOには若干の不満や物足りなさを感じざるを得ません。

 

大手キャリは割高だ、ユーザー囲い込みが酷い…等々と言われ、それ故にMVNOへの乗換えが進まないとされていますが、では逆に受け入れる側のMVNOは乗り換えやすい体制が整っているのでしょうか。

実は、大手キャリアからMVNOへの乗換えは2017年中盤をピークに減少傾向となり、現在は「MVNO冬の時代」と言われるほど、かつての隆盛は見られない状況に陥っています。

 

大手キャリアが割安な料金プランを打ち出した事や、サブブランドや大手グループMVNOの認知度・人気の高まりなどの外的要因もさることながら、FREETELの破綻でMVNOの経営に疑問を持つユーザーがづ得た事や、低料金競争のあげく収益性を失い回線増強もまままらない状況、人気のiPhoneの使用可否がユーザーに伝わっていない等々、様々なMVNO側の要因も乗換えを控える原因となっています。

 

「MVNOの通信速度は遅い」という情報は、乗換えを検討するユーザーには周知の事実となっており、それだけでも速度重視のユーザーがMVNOへの乗換えを逡巡するに足る重大要因であり、MVNO並みの料金で大手キャリア同等の通信速度を提供するサブブランドや大手グループMVNOが人気を博すのも無理からぬことです。

 

いみじくも、総務省「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」におけるUQmobileの「他社よりも若干割高な料金を設定する事で収益性を確保し、回線増強を行っている」という発言は、MVNO自身が今顧みなければならないキーワードのように思えてなりません。

 

以下は、mineoと日本通信b-mobileSの速度計測値(2018年5月平均)と、容量ごとの料金の比較です。

https://kakuyasu-sim.jp/speed/mineo-d?mon=2018-05

https://kakuyasu-sim.jp/speed/b-mobile-s?mon=2018-05

 

容量 500MB 1GB 3GB 5GB 10GB 20GB 30GB
mineo 1400円 1500円 1600円 2280円 3220円 4680円 6600円
b-mobileS 990円 1990円 2990円 5490円

価格は全て税別表示

 

深夜の時間帯や午前中など、速度が比較的で安い時間帯にはmineoの方が速い速度を計測していますが、朝・昼・夕方~夜間のいわゆるピーク時には、b-mobileSが実用的な速度を維持しているのに対して、mineoはMVNO平均を割込むほどの速度低下を起こしています。

 

その両者の料金を比較してみると、b-mobileSは、1GBでは安いですが、容量が増えるに従って割高となる料金設定となっています。

 

日本通信はこのプラン導入の際に、「音声SIMで月額990円という思いきった料金をご提示しながら1GBあたり500円を頂戴することで、お客さまが増えても常に快適で安定したサービス品質を維持できるように設計いたしました」と語っており、十分収益性を確保した料金を前提にサービス品質の安定を目指した事を明確にしています。

 

毎月コンスタントに10GBを消費するユーザーが、あえてb-mobileSを契約するかどうかは疑問ですが、月によって消費量が変動するユーザーであれば、このプランをチョイスするに十分な料金設定になっていると言えます。

 

設定した料金では収益性が追い付かず回線増強ができない状況にあるとすれば、通信速度は諦めて「遅いが安い」を目指すか、ある程度の収益性のある金額に料金を改定し「少し高いが速度もまずまず」を目指すか、MVNOはいずれかに絞る必要はあるのではないかと感じます。

 

「速いけれど高い大手キャリア」なのか、「遅いけれど安いMVNO」なのか、「他社より少し割高だが他社より早いMVNO」なのか、各々の特徴においてユーザーがチョイスする事が本来の姿であって、総務省や行政が画一的な視点で、「解約しやすい」「乗り換えやすい」事を事業者に強制する必要はないように思います。

 

MVNOだからといって、必ずしも他社よりも料金が安くなければいけない事はなく、大手よりは割安だが、他社MVNOより少し割高だが、ある程度の速度を確保できる格安通信…といったポジションを取るMVNOが現れてもよい時期ではないかと思います。

 

もちろん、通信速度は二の次にして、とにかく安さを求めるプランや格安通信会社があってもよいでしょうし、それはそれでユーザーの支持を得られるはずですが、そうでなく、少し割高でも良いから通信品質重視のMVNOが欲しいと考えるユーザーもいるはずです。

そうした部分に目を向けずに、ひたすら低料金競争を繰り広げつつ、回線賃料が高い、グループ会社は不公平な恩恵を受けていると他者のせいばかりにするのも如何なものかと感じます。

 

どの格安通信も同じようなサービス内容で、同じような料金設定ではなく、低料金で勝負するのか、回線品質で勝負するのか、サービスやサポートで勝負するのか、個々の個性を生かしたMVNOの誕生が待たれているように思えてなりません。

 

4年縛り問題まとめ

4年縛りで解約しにく問題も、MVNOの利用の意向が希薄な事も、もしかすると、情報不足が原因なのではないか…というのが、筆者の結論です。

 

端末購入で48回分割自体はユーザの選択次第のため、あまり問題とは思いませんが、途中で端末回収を条件に機種変更を行い、残債支払いの義務がなくなるという制度には確かに問題がありそうです。

総務省等が問題視する「解約しにくさ」があるのは確かですが、問題は「解約しにくさ」そのものよりは、「あの端末が半額で」といったセールストークの裏に隠された「解約しにくさ」や「端末は回収される」等々の「不利な条件」の説明や理解が足りない事が問題ではないのでしょうか。

 

また、一方では割高な料金であっても大手キャリアを支持するユーザーも少なくありませんし、また、多くの大手キャリアユーザーはMVNOの利用を検討した事もありませんが、果たして、前々項の事例で示したような支払額の差を理解してもなお、乗換えを検討しないのかどうかには疑問が残ります。

 

割高な料金で、解約しにくく、端末は回収されてしまうが、2年ごとに最新のスマホを持てる事を「是」と感じるユーザーは大手キャリアを自分の意志で選べば良いですし、料金コストの削減を優先するユーザーや、購入した端末を回収されるのを受け入れ難いユーザーは、MVNOを選べば良いのです。

 

その判断のために必要な情報を、不公平なく各社が明らかにするような案内や説明を行わせる事こそが、総務省や行政の役割ではないのかと思います。

総務省や行政の考える「是」を前提とした独善的な方針や施策はおこなわれるべきではなく、あくまで、ユーザー個々の「是」が実現される方法が講じられるべきです。

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