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  • Appleがシェア転落も同期過去最高益、そして初の1兆ドル企業へ

2018年の第2四半期(4~6月)の出荷台数ベースのスマホシェアにおいて、HuaweiがAppleを抜いて第2位となったニュースはiPhoneユーザーに驚きをもって迎えられ、あたかもAppleが凋落傾向にあるかのようなニュアンスはiPhoneファンをガッカリさせるに充分でした。

しかし、そのシェアを落とした同じ第2四半期に、Appleは同期における過去最高益を叩き出している事実はセットで報道されていませんし、さらに、Appleがアメリカ国内において初の時価総額1兆円企業となったこともまた別々のニュースとして扱われていました。

 

今回は、そんなアップルに関するデータについて、元になるデータや、そのデータの集計の方法等で結果が著しく異なる事などを詳細に分析してみたいと思います。

 

2018年第2四半期、Appleがシェア第3位に転落

 

https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS44188018

アメリカの調査会社IDC(International Data Corporation)によれば、2018年第2四半期(4~6月)の出荷台数ベースの世界のスマートフォンのシェアにおいて、Appleは初めて第3位に転落、Huaweiが第2位に浮上しました。

 

図表は、IDC調査による2017年第2四半期と、2018年第2四半期の世界のスマートフォンの出荷台数シェアランキングで、第1位は変わらずSamsungですが、Appleは第3位に転落しています。

出荷台数を見てみると、Samsungは、2017年7千9.8百万台→2018年7千1.5百万台で推移、同じく、Appleは4千1.0百万台→4千1.3百万台とわずかに増加したものの、Huaweiは3千8.5百万台→5千4.2百万台へと大きな伸びを見せ、第2位となっています。
3位以下でも、Xiaomi(シャオミ)が2千1.4百万台→3千1.9百万台と伸びがおおきく、OPPO(オッポ)も2千8.0百万台→2千9.4百万台と伸びをみせており、中華系のスマホメーカーの出荷台数が大幅に伸びている事が分かります。

シェアで見ると、Samsung以外のTOP5メーカーは多少はあるものの各社ともシェアを拡大しています。Appleも、11.8%→12.1%と微増ながらもシェアを拡大しています。

 

本稿はAppleに関する記事ですので、少々余談になりますが、このシェアランキングの中で、最もシェアを落としているのは、トップのSamsungで、207-2018の第2四半期の出荷台数が-10.4%でした。
Samsungがシェアを落としている原因については、中国国内でのシェアの激減が大きく影響しているかもしれません。

ある調査によれば、2017年末から中国国内でのSamsung製スマートフォンのシェアの減少が目立ち始め、最大で20%ほどもあったシェアは、0%台まで落ち込んでいると言われます。
原因は様々言われますが、政治的な背景による「嫌韓感情」による不買や、中国製スマホメーカーとの技術的な差が縮小したにも関わらず、Samsungが採った高級機路線が割高感に繋がっていると言われています。

いずれにしても、中華スマホの伸長はすさまじいものがある中で、逆に言えば高級・高額のiPhoneはよく頑張っているとも言えるデータと言えるかもしれません。

また、「その他」の機種においても-18.5%の減少とふんばっていますが、これは、上位のスマホメーカーに需要が集中している事の現われと言えます。上位の人気機種ばかりに需要が集中、その他の機種は出荷台数を落としていると見られます。

 

上記の集計から読み取れる事は以下の通りです。
1. Samsungが中国市場での不調の煽りを受け、世界市場でもシェアを落としている。
2. Huaweiをはじめとする中華スマホメーカーの伸長が著しく、Appleは順位を落とした。
3. TOP5以外のシェアも減少しており、上位メーカーへの集中が起こっている。

ちなみに、6位以下を見ても、「Vivo・ZTE・Lenovo・TCL」と中華スマホメーカーが大半を占めており、辛うじてLG(韓国)が食い込んでいるに過ぎません。もう当たり前の事になっていますが、日本のメーカーは1社もランキングに顔を出していません。

 

日本国内のメーカー別シェアはAppleがダントツ

iPhoneとAndroidのシェア比較については、iPhone:6割、Android:4割などとよく話題に上りますが、スマホメーカー別の日本国内のシェアについて語られる事はあまりありません。

IDC Japanの調査によれば、2018年第1四半期のスマホメーカー別の出荷台数シェアは、想像通りのあのメーカーがダントツでした。

 

https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20180607Apr.html

1位:Apple(473.8万台 49.4%)
2位:SHARP(151.8万台 15.8%)
3位:Sony(95万台 99%)
4位:Kyocera(70.6万台 7.4%
5位:Samsung(56.5万台 5.69%)

日本国内でもSamsungのシェアは下降傾向にあるようですが、台湾資本が入って息を吹き返したSHARPが第2位、国産スマホの代名詞Sonyが第3位ですが、そのシェアは、1位と2位で3倍以上の開きがあります。

こうしたAppleにシェアが集中した状況は世界的には非常に珍しく、iPhoneが生まれたアメリカでさえシェアは40%前半程度で、Andoroidが上回ります。

比較的iPhoneのシェアが高い、イギリス・オーストラリアでも40%台で、iPhoneがAndroidより上回るシェアを獲得している国は日本以外は皆無です。

 

シェアとは何なのかを考えてみよう

シェアは日本語に訳すと「占有率」になります。
市場で、ある商品が全体の何割を占めているか…です。
一口にシェアといっても、何をベースに考えるかによって結果は異なります。

前述のHuaweiがAppleを抜いて2位になったのは「出荷台数ベース」のシェアです。

 

こちらは、Counterpointresearchの調査による2018年5月のスマホ販売ラインキングTOP10です。

前出の統計は、2018年第2四半期(4~6月)の「出荷台数」におけるシェアですが、こちらの統計は2018年第2四半期のうちの5月の「販売数」におけるシェアです。

1位・3位・5位にiPhoneが入っていますが、その他は全てAndroidスマホです。
グラフの上部にシェア比率が記されていますが、これを合計すると、iPhoneは3機種で6.8%、Androidは24.6%になります。これは、世界で最も入れた10機種のiPhoneとAndroidのシェアは6.8%と24.6%だったという意味です。
また、TOP10の10機種のシェア31.4%を100としてTOP10に限った場合のシェアは、iPhone21.7%、Android78.3%になります。

TOP10の10機種を、iPhone×Androidという区分けれはなく、メーカごとのシェアに置き替えてみると、TOP10の中でのAppleのシェアは21.7%、Samsung:14.3%、シャオミ:11.1%、HuaweiとVivoが0.4%、OPPOが0.4%という事になります。
つまり、前出の統計だけを以って、AppleがHuaweiに負けている、追い抜かれているとは言い切れないという事には注意が必要です。

この他にも、Appleの高収益性を物語るデータは枚挙にいとまがありません。

 

例えば、こちらは少し時期がズレますが、前出のCounterpointresearchの調査による2017年第4四半期の世界のスマートフォンによる収益シェアのTOP10です。

このグラフによれば、2017年第4四半期の世界のスマートフォンによる収益のうち「iPhoneX」1機種のみで35%を占め、2017年には発売されたiPhone8/8Plusを含めると69.3%になり、10位のiPhoneSEまで含めれば84.8%にもなります。

つまり、2017年第4四半期という限定的な期間ではありますが、世界で売れたスマートフォンの収益の85%近くをiPhoneが独占している…という事になります。
もちろん、iPhoneXや8/8Plusが発売直後ですので、異なる別の四半期では「X/8/8Plus」の比率がもう少し少ない可能性はありますが、いずれにしても、Appleの収益性の高さがよく分かる調査結果となっています。

 

以上のように、一口にシェアと言っても、どこに基準を置くのか…によって、その順位は大きく異なってきますし、それを基準にどちらが優れている、勝っている等といった事は、それを読み解く人物の意図に大きく左右されます。

つまり、冒頭の統計でHuaweiがAppleに対して出荷台数でシェアを逆転したと言っても、安い端末を数多く出荷たHuaweiが、高額なiPhoneを出荷するAppleのシェアを上回っても何ら不思議はない訳です。
さらに言うなら、Huaweiが2位に浮上したシェアは出荷台数ベースであり、その全てが販売されたかどうかは分からない…という事もあります。現に、先の機種別販売シェアでは、同時期の統計にも関わらずHuaweiはTOP10に1機種しかランクインしていません。

もちろん、出荷台数ベースであろうが、販売台数であろうが、販売額・収益額、全てにおいてトップシェアを獲得できれば良いのでしょうが、そもそもiPhoneとAndoriでは端末価格が異なります。
世界では、Andoridは普及機、iPhoneは高級機と区分けされているため、新興国や開発途上国のユーザーはiPhoneに手を出せる経済力を有していない事もシェアには大きく影響する要因なのです。

 

Appleが第2四半期として過去最高益を記録!

 

前項では、Appleの2018年第2四半期(4~6月)において、出荷台数シェアでHuaweiに抜かれて第3位に転落した事に関連したニュースを取り上げましたが、実は、同じ第2四半期においてAppleはもう1つ重要な統計を発表しています。

2018年7月31日、Appleは、売上高が前年同期比17%増の532億6500万ドル(1$112円換算で約5兆9657億円)、純利益は前年同期より32%増えて115億1900万ドル(1兆2900億円)となり、いずれも4~6月期としては過去最高益だった事を発表しました。さらに、Appleは6四半期連続の増益となりました。

2017年11月に発売したiPhoneXの販売が好調で、単価が高額な事もあり収益に大きく寄与しました。
iPhone全体の販売台数は、1%増の4130万台と僅かな増加に留まった一方、20%の増収をもたらす等、iPhoneXを筆頭に高級路線が功を奏した格好です。
また、Appleウオッチ等のその他製品が37%増の37億4000万ドルと大きく躍進しました。

 

Appleはここ数年、「今後のAppleはサービス部門が収益の鍵を握っている」としてサービス部門の強化を行ってきましたが、そうした方針も徐々に実を結んできたようで、Apple製品ユーザー向けのソフト面のサービス強化が増収に大きく寄与し始めています。
第2四半期では、AppStoreでのアプリ販売や、AppleMusicでの音楽配信、iCloud等のサービス部門も31%増の95億4800万ドルを稼ぎ出しています。

 

Appleは初の時価総額1兆ドル企業に

この第2四半期の好調な決算の結果を受け、8月2日の米株式市場において、Appleは上場来最高値を更新し一時207.05ドルまで上昇し、7/20時点の発行株式による時価総額が1兆ドルを超えました。

株式市場において、Appleの他にも、AmazonやGoogleの持株会社であるアルファベット等と共に、どの企業が一番乗りを果たすのか…の「時価総額1兆ドル達成レース」に注目が集まっていました。
その中で、Amazonの有料会員数が1億人を突破したことで、Amazonが最有力と見られていましたが、高額なiPhoneXが当たった事で、一気にAppleが一番乗りを果たしました。

これは米国企業はもちろん、世界の民間企業で初めての事で、このところのAppleの好調さを如実に物語っています。ちなみに、過去に時価総額1兆円を達成したのは、中国の政府系のエネルギー会社である中国石油天然気(ペトロチャイナ)のみで、2007年に上海市場において当時の米ドル換算で1兆ドルを達成しています(現在は低迷)。

 

Appleがシェア第3位に転落も過去最高益 まとめ

1976年に故スティーブジョブズ等によって設立されたAppleは、当初は小さなパソコン会社でしかありませんでしたが、iPhoneの大ヒットを生み、iPadやAppleウオッチなど画期的な製品を次々に生み出し、ユーザーの心を掴んできました。

現在では、iPhoneをはじめとする製品群が太い柱に成長し、さらに、AppleStoreやAppleMusic、iTunesなどのエンターテイメントコンテンツによる収益も大きな柱となって屋台骨を支えるまでになっています。

しかし一方では、世界的なスマートフォン販売における飽和状態によって、如何にAppleと言えども、エンターテイメント性の高い人気コンテンツを生み出し続ける事ができなければ、Google擁するアルファベットやAmazonに時価総額トップの座を奪われかねないとも言われています。

 

これらの結果はAppleの方針や施策が市場に対して正しく機能している事の何よりの証しですし、増出した収益はさらなるiPhoneをはじめとするApple製品の魅力を高める事は間違いなく、今後もAppleの動向から目が離せません。

 

2018年発売のiPhoneに関する噂

昨年のiPhone8/8Plus/Xの発売直後から、次期iPhoneについての予想・予測が様々なに語られてきましたが、発表・発売まで約1か月となって現時点で有力とされている新型iPhoneについての噂をまとめてみます。

 

1. iPhoneXのような、いわゆる「ベゼルレス」デザインのiPhoneが3機種発売される。
iPhoneXの廉価版の6.1インチ液晶のiPhoneXc、5.8インチ有機ELディスプレイ搭載のiPhoneXs、6.5インチ有機ELディスプレイ搭載のiPhoneXsPlus。
2. 廉価盤以外は、1000ドル(日本円で約10万円)超のプライスを継続。
3. 不評だったノッチ(切り欠き)はデザイン上、うまく処理される可能性。
4. 全て、または一部機種で、デュアルSIM仕様に対応する可能性。
5. 次期モデルが全てベゼルレスとなり、iPhne8/8Plusは、ホームボタンを備えた最後のモデルとなる可能性大。
6. 噂されていたiPhoneSE-2の開発は中止となり、iPhone8が廉価版iPhoneの路線を引き継ぐ。
これにより、「小さなiPhone」は消滅する(現行iPhoneSEは継続販売?)。
7. 何れかの機種、またはすべてに、デュアルSIM仕様が採用される。DSSSか、DSDSかは不明。
iOS12ベータ5から有力な証拠が発見されたため信憑性高い。サブSIMはe-SIMになる可能性あり。
8. iOSは「12」に進化。対応機種は広く、iPhone5s以降の全モデルでインストール可能。

 

あくまでも噂に過ぎませんが、これらの中には非常に信憑性が高いとされる噂も含まれますが、2018年モデルは、2017年モデルよりも買換えが活発化するのではないか…との観測が出ています。

iPhone史上、初めてベゼルレスになったiPhoneXと、iPhone7/7Plusと大した違いや進化がなかったiPhone8/8Plusを見て、様子見で買い換えなかったユーザーが一定数いたと言われますが、こうしたユーザーが2018年モデルで定着化しそうなベゼルレス・モデルへの買換えを加速しそうです。

また、2018年前半に発売が予想されていたiPhoneSE2が発売されず、9月にも発表されない場合、ホームボタン装備したiPhoneを好むユーザーは、最終モデルとなりそうなiPhone8への買換えが重なり、大きなボリュームになると予想されています。

 

これらの噂や予測がどこまで当たるのか分かりませんが、少なくとも、現在のAppleは第2四半期の出荷台数ベースのシェアが第3位に墜ちた事など、ほとんど意味を持たないと言っても過言ではありません。

iPhoneに限らず、成熟するにつれハードウエアによるシェア獲得から、ソフトウエアへの収益の中心が移行することは常道ですし、現在のAppleはそれを上手に転換しつつあると思います。

600~700ドルが中心だったiPhoneの価格を1000ドル超にアップさせた事は、Appleが台数より収益に重きを置いている事の何よりの証ですが、それが成功するかどうかは、Apple自身も心配があった事と思います。
しかし、同時期に先行して発売されたiPhone8/8PlusよりもiPhoneXが売れた事で、Appleは自らの方針に自信を持ったはずで、その路線を今後も継続してゆく事は間違いありません。
そうした状況下で登場してくる次期iPhoneがどんなモデルなのか、価格はどのレンジなのか等々、大いなる期待をもって待ちたいと思います。

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