
いわゆる格安SIM(MVNO)の利用動機はユーザー層の裾野が拡大するにつれて多様化しています。
例えば、SNS中心の利用なのでカウントフリー機能が必須…という方もいれば、通話が多いので「かけ放題」オプションは外せないという方もいます。
さらに、自宅にWiFi環境を持たず動画視聴に利用したりパソコン通信もスマホ・テザリングで賄うといった割安な大容量プランを望む方も少なくありません。

そんな中でも、MVNO創世期から利用動機の中心であった「極力料金を下げたい」と希望するユーザーは現在も変わらず大きな流れとして存在しています。
今回はそうした「極力料金を下げたい」とお考えのユーザー向けに、通話機能込みで月額1,200円(税別)以内で利用可能な通信会社とプランをピックアップ、使途に応じたメリット・デメリット等を比較してみたいと思います。
月額1,200円で利用可能な通話プラン
現在、データ専用SIMの最少プランは500円/1GB程度が相場となっており、これに通話機能を加えると+700円で月額1,200円という金額が割安な通話プランのボーダーラインになろうかと思います。
今回は、7社から最安の料金設定となっているプランをピックアップしてみました。
通信会社 | NURO
mobile |
LINE
mobile |
Links
Mate |
DMM
mobile |
DTI
Sim |
イオン
Mobile |
日本通信
b-mobileS |
プラン | 0sim | Lineフリー | 1GB | 1GB | 1GB | 500MB | 990JFS※ |
通信回線 | ドコモ | ドコモ | ドコモ | ドコモ | ドコモ | ドコモ | Softbank |
データ容量 | 499MB | 1GB | 1GB | 1GB | 1GB | 500MB | 1GB |
データ料金 | 0円 | 500円 | 500円 | 440円 | 600円 | – | – |
通話機能 | +700円 | +700円 | +600円 | +700円 | +600円 | – | – |
データ+通話 | 700円 | 1200円 | 1100円 | 1140円 | 1200円 | 1130円 | 990円 |
かけ放題 | +800円 | +880円 | 800円※ | +850円 | +820円 | +850円 | +500円※ |
月総額 | 1500円 | 2080円 | 1900円 | 1990円 | 2020円 | 1,980円 | 1490円 |
通信速度 | 高速 | 高速 | 2Mbps | 200Kbps | 高速 | 高速 | 高速 |
課金 | 従量制 | 固定制 | 固定制 | 固定制 | 固定制 | 固定制 | 従量制 |
備考 | CountFree | CountFree | CountFree | CountFree |
※「990JFS」は990ジャストフィットSIMの略です
※ LinksMateのかけ放題は「G-Call」のかけ放題を想定しています
※ b-mobileSのかけ放題は「5分かけ放題」です
※ 金額は全て税別表示
注意点
- 「NUROmobile 0SIM」、「イオンモバイル」以外は月間データ容量が1GBのプランとなっています。
- 「DMMmobile」「LinksMate」に関しては、最安プランは通信速度が制限されています。
- 「イオンモバイル」「b-mobileS」に関しては、同じプラン内にデータ専用プランが存在しません。
- 「NUROmobile 0SIM」「b-mobileS 990ジャストフィットSIM」は従量課金制プランです。
おすすめ第7位:DMMmobile
DMMmobileは、DTISIMと共にMVNO業界最安値を謳い、料金の低価格化に貢献してきたMVNOですが、割安な料金を打ち出す後発MVNOが登場して、以前ほどの割安感を出せない状況にあるようです。
今回の比較内容である1200円以内のプランは、通信速度が低速200Kbpsに制限されたプランしかないためこの順位のお勧め度になってしまいましたが、高速通信可能な通話プランは1,260円から用意されています。
通信回線はIIJから提供されており通信品質には定評がありますが、混雑時間帯の速度低下は避けられない状況で、特に昼12時台にはつかいかっての実用的な通信速度の目安である「1Mbps」を割込む事が多く混雑時間帯の利用頻度が高いユーザーにはお勧めしにくい部分があります。
電話サービスに「かけ放題」をチョイスした場合には、低速限定プランで月額1,990円、高速1GBプランでは2,110円となり、2,000円を超えてしまいます。
対象SNSの通信がカウントされない「SNSフリー」は、月額250円の有料オプションとなります。
おすすめ第6位:イオンmobile
イオンmobileは2014年に登場し、格安なスマートフォンとのセット販売で一世を風靡し「格安スマホ」という言葉を広く浸透させた功績が非常に大きいMVNOです。
スーパー・イオンの店頭で契約する事ができるなど、大型小売店のメリットを最大限生かすと共に、料金プラン
・サービス内容も常にニーズに応えており、主婦層を中心に高い人気を誇るMVNOです。
今回の通話SIMで1,200円以下料金の比較では、データ量500MBのプランしか提供されておらず、この順位となりましたが、1GBプランが1,280円で提供されています。
通信速度は、ドコモ回線MVNOの常で混雑時間帯の速度低下は避けられませんが、他の時間帯では比較的良好な速度を維持できており、使い勝手は悪くないSIMとなっています。
電話サービスに「かけ放題」をチョイスした場合には、500MBプランで月額1,980円、高速1GBプランでは2,130円となり、2,000円を超えてしまいます。
対象コンテンツの通信がカウントされない「カウントフリー」オプションは用意されていません。
おすすめ第5位:LINEモバイル
LINEモバイルは、データ量1GBのデータ通信プラン「LINEフリープラン」を月額500円(税別)で提供しており、これに通話オプション+700円を加えた1,200円(税別)が通話SIMの最低利用料金です。
2016年9月のサービスインから暫くはドコモ回線SIM最速と言われましたが、半年が経過した2017年春ごろから速度低下が目立つようになり、現在は、混雑時間帯にはドコモ回線他社MVNOと同等の速度に落ち着いてしまいました。
しかし、LINEを始めとするSNSに利用した通信を料金にカウントしない、いわゆる「カウントフリー」の仕組みを本格的に導入したパイオニアとして人気を博しています。
契約データ容量を使い切った場合でも、カウントフリー対象コンテンツは高速で利用できることから、スマホの利用シーンにおいてLINEの比率が高いユーザーにはお勧めです。
上位プランでは、LINE以外にも、Facebook/Twitter/instagram等のSNS利用もカウントされません。
電話サービスに「かけ放題」をチョイスした場合は、高速1GBプランで2,080円となり、2,000円を超えてしまいますので、社外電話サービスである「G-Call」を利用した方がコストを抑えられ、僅かながら割安となります。
LINEフリープランでは、LINE利用時の通信を契約データ量の消費としてカウントしない「カウントフリー」が標準で付属しています(別途費用は必要ありません)。
おすすめ第4位:DTIsim
DTIsimは、ドリーム・トレイン・インターネットが提供するドコモ回線を使用したMVNOサービスで、以前は業界最安を謳っていたDMMmobileに対抗して格安SIMの低価格化を推進してきた事業者ですが、1GB=500円クラスのプランを掲げた後発MVNOの参戦により、その安さが目立たなくなってしまいました。
地味ですが、中古端末ながらiPhoneを2年ごとに交換できる仕組みや、契約から6か月間基本料がかからないお試しプランを提供する等、独自の施策を展開している意欲的なMVNOでもあります。
通信速度は混雑時間帯には速度低下を起こすドコモ回線MVNOの特徴そのままで、混雑時間帯の利用では少々ストレスを感じるかもしれませんが、混雑時間帯以外では比較的安定した通信速度を維持しています。
データ専用SIMであれば、半年間無料でお試し利用できるのもDTIsimの魅力の1つですが、通話SIMには1年間の最低利用期間が設けられていますので、注意が必要です。
電話サービスに「かけ放題」をチョイスした場合でも高速1GBプランで1,800円となり、2,000円以内で納める事ができる事から、この順位と致しました。
YOUTUBEとTwitterのデータ通信が無料となる「DTI見放題SIM」が別途用意されています。
おすすめ第3位:LinksMate
LinksMate(リンクスメイト)は、2017年にサービス開始したばかりの新しいMVNOで、サービス開始からまだ1年未満です。
まだユーザー数が少ない事もあり通信速度は非常に良好で、最も通信速度が低下する昼12時台でも基準の1Mbpsを超える速度を維持できています。
1GBプランの通話プラン料金は月額1,100円と割安ですが、通信速度が最大2Mbpsに制限されます。
最大2Mbpsでは不安と感じるかもしれませんが、快適通信の目安である1Mbpsを超えていますので、動画視聴等の超高速通信を必要とする利用でなければ、多くの利用シーンでは問題なく利用できるはずです。
ゲームプレイ時も2Mbpsであれば十分快適ですし、アプリDLやアップデートにはWiFiを利用する事で十分に実用的な通信速度であると考えられます。
また、LinksMateの最大の特徴であるゲーム関連の通信が料金にカウントされない「カウントフリーオプション(月額別途500円)」が非常に好評です。
この仕組みは、ゲームプレイ時の通信はもちろん、アプリストアからのダウンロードやアップデート時の通信もカウントされないばかりでなく、SNSや「AmebaTV」「AWA」等のサイバーエージェント系コンテンツの通信もカウントされませんので、対象コンテンツを利用するユーザーにはイチオシMVNOとなります。
LinkeMateでは、「かけ放題」オプションが用意されていませんが、「G-Call」等の独立系電話半額サービスを利用する事で、同等のメリットを享受する事が可能です(G-Callかけ放題は月額800円で利用可)。
おすすめ第2位:NUROmobile 0SIM
NUROmobileは、So-netが運営するSONY系のMVNOです。
NUROmobileでは、「5時間プラン」「深夜割」「データ前借り」等の他社にはないユニークなプランやサービスが提供されていますが、中でも「0sim」は条件が整えば無料で利用できるという画期的なプランです。
無料で利用できる条件は、データ専用として契約し、月間の利用データ量が499MBまでの場合です。
500MBから100MB=100円で課金される従量課金制のプランで、900MBまでなら他社プランと比較しても割安に利用する事ができます。
音声通話機能を利用する際には月額+700円が上乗せになりますが、499MBまで(データ利用量無料)であれば、月額700円で通話SIMを維持でき、通話SIMとして最安プランとなっています。
通信速度のついては、無料通信だからといって速度制限等なく理論上の最高速まで利用可能ですが、実質的には有料の通常プランよりは遅めの速度となりますので、エマージェンシー的な利用が向いているように思います。
例えば、普段はほとんど通話しかせず、時々メールのやり取りをする、LINEをテキストで利用する等の利用であれば、月間499MBで十分に足りるものと思います。
また、通話サービス「nuroモバイルでんわ」にも対応しており基本料無料で10円/30秒の半額通話が可能です。さらに、月額800円の「10分かけ放題」オプションも利用可能で、かけ放題を含む料金総額は1500円という格安料金となります。
「0sim」は、他社に同様のサービスが存在しない独自サービスのため比較するのが難しいですが、データ容量1GB以内の通話SIMという今回の括りであれば、最安プランである事は間違いありません。
対象コンテンツのデータ通信が料金にカウントされない「カウントフリー」オプションは用意されていません。
おすすめ第1位:日本通信b-mobileS 990ジャストフィットSIM
b-mobileSは、日本通信が提供するSoftbank回線を使用するMVNOサービスで、2017年3月にサービス開始となりました。
当初はデータ専用SIMのみの展開でしたが、同年8月に音声通話機能付きプラン「スマホ電話SIM」、同11月には、音声通話機能付きの激安プラン「990ジャストフィットSIM」を発売しました。
「990ジャストフィットSIM」は、1GB=500円で加算される従量課金制プランで、最少容量1GB時の月額基本料が990円(税別)に設定されており、通話SIMとしては業界最安値プランとなっています。
データ使用量が1GB増加するごとに料金が+500円加算されるため、3GB以降は他社MVNO料金と比べると割高になってしまいますので、月間のデータ使用量が2GB程度のライトユーザー向きのプランです。
b-mobileSの通信速度は、Y!mobile/UQmobileのサブブランド勢に次ぐ高速通信を維持しており、混雑時間帯でも安定して5~10Mbpsを維持できています。
通話サービスに関しては「b-mobile電話」アプリを使用する事で、基本料無料で10円/30秒の半額通話が可能となり、月額500円で「5分かけ放題」オプションの利用が可能です。
「5分かけ放題」利用時の月額料金は1,490円と非常にリーズナブルで、0SIMに次ぐ安さを実現していますが、他社のかけ放題は10分かけ放題が主流ですが、b-mobileは5分かけ放題となります。
「10分かけ放題」を利用したい場合には、社外半額通話サービスである「G-Call(10分かけ放題800円/月)」の利用がお勧めです。
通信速度や通信安定性を勘案すれば、「b-mobileS 990ジャストフィットSIM」が最も割安で、実用的な機能・性能を併せ持っていると言えそうです。
ただしデータ利用量は月間2GBまでのライトユーザー向けという条件付きになります。
対象コンテンツのデータ通信が料金にカウントされない「カウントフリー」オプションは用意されていません。
G-Callとは?
G-Call
プレフィックス電話と呼ばれる「料金半額電話サービス」は、その名の通り「プレ=前に」「フィックス=付ける」電話です。
回線を識別する所定の番号(特番)を相手先電話番号の前に付加する事で割安な回線を経由して通話発信されるため、通常より割安な料金で通話する事ができる仕組みです。
「料金半額電話サービス」は、多くのMVNOで各社独自に提供されていますが、異なる通信会社間での互換性がありません。
そのため、MVNOを乗り換える際にはそれまで利用していた「半額通話アプリ」を破棄、新たな通信会社が提供するアプリを再インストールしなければなりませんし、「かけ放題」も新たな通信会社で再契約しなければなりません。
「G-Call」は、どこの通信会社にも属さない独立系の「料金半額通話サービス」会社で、大手キャリア・MVNO各社いずれからでも利用可能で、通信会社を乗り換えてもそのまま継続利用できるのがメリットです。
MVNOを乗り換えても新たなアプリのインストールや、かけ放題の再契約は必要ないので、乗換え時の手間が大幅に削減できます。
月額1,200円以下の通話SIM まとめ
自宅や会社などにWiFi環境がある場合などは、モバイル通信をあまり使わないケースは少なくありません。
今回は、月間で1~2GB程度の容量でも余らせてしまうライトユーザー向けのプランを見てきましたが、安さを取るか、安さの中にもある程度の性能を求めるのかによって、ベストチョイスは違ってくるのかもしれません。
少なくとも、データ通信1GBで500円、通話機能付きで1,200円が激安プランのボーダーラインのようです。
各社「カウントフリー」オプションを用意する等、他社との差別化を図っています。ただ、ある程度の通信速度が確保されていなければ、時間帯を選ばず通信を利用できるという基本性能を発揮する事はできません。

そうした観点からSIMを選ぶとすれば、混雑時でも十分に快適な速度を維持している「b-mobileS 990ジャストフィットSIM」は非常にコストパフォーマンスの高いSIMではないかと思いました。
従量課金制ですが、1GB利用時の料金が通話機能付き(通話SIM)で月額990円という設定は破格です。
その上、混雑時でも快適な通信速度が維持され、月によって多くのデータ量を消費した場合でも、1GB当り500円という「追加購入」として考えれば割安な加算額になります。
これもSIMのメリットの1つではないかと思います。
また、499MBまでデータ通信料金が発生しない(つまり無料で利用できる)「0sim」は他社にはない非常に特殊なSIMと言えます。
若干、通信速度が遅めなのが気になりますが、スマホの使途がほぼ通話で、時々メールやSNSを利用する…といったユーザーには一択となるSIMではないかと思います。
NUROmobileのユニークな「データ前借り」等のオプションサービスは適用されませんが、通話機能を付けても月額700円という料金は、非常にインパクトがあると思います。

ゲーム利用に特化したLinksMateも、サービスインから間もない事もあって通信速度が良好な上、料金も他社より気持ち割安な設定となっています。
さらにゲームプレイだけでなく、アプリのダウンロードやアップデートの通信もカウントされない「カウントフリー」オプションは無二の存在として特筆すべきメリットです。
ゲーム好きの方にはまたとないお勧めSIMである事は間違いありません。
まとめ
今回のお勧めのSIMは、どこかに特化した部分を持っていて、幅広いユーザー向けというよりは、特定の利用シーンを重視するユーザー向けのSIMを上位に選んでみました。
通信速度や安定性もそこそこ、サービス内容もありふれていて、料金も高からず安からず…
といったSIMより、明確に目指す処があって、そのために余分なぜい肉をそぎ落としたような筋肉質のSIMとも言うべき、特徴あるSIMをお勧め上位に致しました。
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