総務省「 モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」は、昨年12月から6回を重ねました。

 

その場において、mineo(マイネオ)・楽天モバイル等のMVNOは、Y!mobile・UQmobileの「サブブランド」「大手グループ会社」に対して、通信速度が他社より抜きん出て速い事や、大量のTVCMを放送している事などを事例に、大手キャリアから優遇を受けているのではないかとの意見を総務省に提出しました。

検討会ではこれを受け、もし優遇措置などの不公平や格差があるのであれば、これは是正・規制しなければならないといった立場で議論を進めました。

 

特に、auと同じKDDIグループのMVNOであるUQmobileに対しては厳しい追及を行うか前でしたが、結果として、MVNOが言う優遇措置の存在は確認できませんでしたし、TVCMを大量に放送できる背景もUQmobile側が妥当性のある回答を行う事で、その追及をかわす事ができました。

これにより、mineo・楽天モバイルが目論んだ、総務省を巻き込んだ「UQmobile包囲網」「UQmobile潰し」は失敗に終わると共に、逆に、通信速度の決定的な差が、UQmobileユーザーには大きなメリットとなる事を公の検討会という場で両社自身が認めてしまった格好です。

 

今回は、そうした総務省検討会や、mineoの「通信の最適化」問題も踏まえ、ますます勢いを増しそうなUQmobileに再び焦点を当て、その優位性やお勧め度などを検証してみたいと思います。

 

総務省検討会におけるUQmobile包囲網とは

2017年12月25日に初会合が行われた総務省「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の主旨は、シェアの9割を握る大手キャリアの寡占状態から、MVNOによる多様な通信サービスが低廉な価格で提供されるために、大手キャリアと同等の条件でサービス展開される事を目指すというものでした。

つまり、平たく言えば、総務省は9割ものシェアを握り高止まりしているモバイル通信の料金の低廉化のために、MVNOに肩入れして、少しでもMVNOがサービス展開しやすいようにバックアップするための会議…というわけです。

 

その一環として、Y!mobileと、UQmobileの存在がMVNOへの乗換えが進まない一因とし、場合によっては何らかの規制が必要ではないか…との検討が行われた訳です。

ちなみに、Y!mobileはSoftbank自身が運営する社内の第2の通信ブランドである事から「サブブランド」と呼ばれ、UQmobileは、auと同じKDDIグループに属するMVNO(auから回線を借りている立場)ながら、サブブランド的な立場にあり、「サブブランド系」としてY!mobileと一括りに語られる事が多い通信会社です。

 

この2社が、低料金化を望むSoftbank・auの大手キャリアユーザーの乗換え先となる事で、ユーザーをグループ内に留める役割を果たしており、大手キャリア並みの通信速度や通信品質を有しながら、MVNOに対抗押しうる低料金を打ち出し、徐々にその人気が高まっています。

こうした事態に危機感を抱くIIJ・mineo・楽天モバイルといった大手MVNOが検討会の場において、優遇措置の存在や不公平な取引条件などの存在をアピールしました。

 

 

http://www.soumu.go.jp/main_content/000527202.pdf

 

MVNOと対抗し得る料金で、あれだけの通信速度を可能にし、大量のTVCMを放送する事は考えにくく、それを可能にしているのは、キャリアからの回線貸出条件に何らかの優遇措置があるのではないか

と言うものでした。

 

つまり、他社MVNOよりも割安な価格で回線を借りているからこそ、あれだけの通信速度を維持でき、さらに毎日大量のTVCMも放送する事ができるとすれば、それは不公平であり是正されるべきだ…という主張です。

こうした主張は、主に同じMVNOという形態で運営されているUQmobileに向けられたもので、mineoでは、自社でUQmobile並みの通信速度を実現するには1ユーザーの料金がいくらになるのかといった試算まで添えて、如何にUQmobileの速度が抜きんでているかと訴えました。

楽天も同様の主旨で、UQmobileの速度が他社MVNOとは決定的な差があり、その速度は、楽天モバイルの料金設定では到底実現できないものである事を訴えました。

 

これに対して検討会を主催した総務省の立場は、「大手キャリアの寡占状態の打破」を大前提にしており、サブブランド・大手グループ会社を大手キャリアユーザーのMVNOへの乗換えを阻害する一因として捉え、優遇や不公平があれば正す事でMVNOへの乗換えを促進したい考えです。

 

筆者は、この検討会について、Y!mobile・UQmobileに何らかの規制を与え通信速度を抑制する事で自社の立場を有利にし、より多くのユーザーを獲得したいMVNOの思惑と、総務省の大手寡占打破の方針とが合致した「包囲網」であると感じました。

大手キャリア自身が運営するY!mobileは、サービス名が異なるだけで中身はキャリアの運営そのものですので、通信速度が速いのは当たり前であって攻めにくい部分がありますが、同じMVNOの形態を採るUQmobileに対しては、優遇措置や不公平といった側面から攻めやすい事から、矛先の大部分はUQmobileに向いたものと感じました。

 

今回の検討会の大きなテーマの1つは、UQmobileの勢いを削ぐことだったと言っても良いのではないかと思います。

 

UQmobileの通信速度はそんなに速く安定しているのか?

前述のとおり、Softbank自身が運営するY!mobileはSoftbankが保有する回線を同等に使用する事ができるため、通信品質や通信速度はSoftbankと同等であり、その事は至極当然の事であり驚くに当たりません。

 

しかし、UQmobileはauが運営するサブブランドではありません。

同じKDDIグループに属しているとは言え、auから回線を借り受けて運営されているMVNOであり、有償で借りうけた回線をユーザーに使わせる事で収益を得る…というMVNOとしての構造は、mineoや楽天モバイルと同じです。

 

それにもかかわらず、UQmobileが、mineo・楽天モバイルを含めたほぼ全てのMVNOとは、比較にならない抜きん出た通信速度を実現している事に対して、自社の通信速度を向上できないMVNOが何とかしてUQmobileの速度を抑制しようと言うのが今回の検討会の構図だったと感じました。

 

実際の速度を見てみると、

 

 

https://kakuyasu-sim.jp/speed/uq-mobile?mon=this

 

こちらは、「格安SIMの通信速度の比較サイト」さんのUQmobileの通信速度の2018年5月の実測平均値です。

濃い実線がUQmobileの通信速度で、薄い実線が格安SIM全体の平均値です。

もう「桁外れ」と言ってもよいほどの速度差が一日中続いています。

格安SIM平均値には、UQmobileもY!mobileも含まれており、平均値を押し上げているにも関わらずこの差です。

 

1日を通して全体的に常に同じ程度の高速通信速度を維持しており安定性抜群ですが、特に注目すべきは、朝夕・昼12時台・夜間の通信が混雑する時間帯であってもほとんど速度が低下しない事です。

平均値の方は、混雑時間帯に大きく速度を下げていますので、使い勝手の良し悪しは歴然です。

 

計測値だけ速度をブーストしているのではないか?と疑われた「FREETEL」の事例もあるように、計測値と体感が伴わないケースもままありますが、動画DL時の速度は体感に近いと言われます。

 

 

https://kakuyasu-sim.jp/speed/uq-mobile?mon=this

 

ここでも、全体的に平均を大きく上回る速度を計測し、混雑時簡でも速度低下を起こさない事が見て取れます。

 

このように、UQmobileの通信速度は他のMVNOより抜きん出ており、本家auの計測値を上回る事さえあるほど高速でしかも安定しているので、他のMVNOが何とかしたいと画策するのも無理もない事だと言えます。

 

検討会におけるKDDIとUQmobileの反論とは

mineoや楽天モバイル等が「その速度と料金はどう考えてもあり得ない、やはり優遇があるのではないか、不公平だ」という申し立てに対して、まずKDDIが回線の貸出条件はUQmobileを含めて同等である旨の反論を行いました。

 

 

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528157.pdf

その主旨は以下の通りです。

●KDDIは複数のMVNOにauネットワークを提供しており、UQmobileもその1社であること

●その提供条件は全て同等であること

●電気通信事業法第38条の2による「届出」において、通信量は同一金額であることは総務省が確認済み

●接続約款に規定するデータ通信料は、10Mbpsごとに月額料金 が設定されていることは総務省が確認済み

 

KDDIは、全てのMVNOに対して同料金で回線を提供していて、UQmobileだけ割安等の条件違いは存在しないし、そうした事は、すでに総務省が確認していることではないのか?という反論です。

これはmineoや楽天モバイルの思惑とは異なり、総務省自身が同一料金である事にお墨付きを与えてしまった格好です。

 

さらに、MVNOには辛辣な意見が述べられました。

 

 

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528157.pdf

 

通信速度と言うものは、MNOのネットワークにおいてどの程度の帯域幅が確保されているかが重要な要因になるため、MVNOの通信速度はMNOとの接続点における帯域幅をどれだけ確保しているかに左右されるとしました。

つまり、UQmobileの通信速度が速いのは、優遇措置等によるものではなく、単純に多くの帯域を確保しているに他ならず、翻って、MVNO各社の通信速度が遅いのは、帯域を十分に確保していないからであるという訳です。

 

帯域幅を増やせば自ずと通信速度は改善されるとすれば、回線の貸出料金が同等である以上、MVNOが帯域確保にどれだけ資金を注入できるかで通信速度は決まってしまうという事を指摘しているわけですが、元々資金力が乏しい上に、低料金化の競争で収益性が悪化しているMVNOには厳しい指摘となっていました。

 

こうしたKDDIの主張には特に間違いもありませんし、作為的に理屈を捻じ曲げている部分もなく、至極真っ当な主張ですし、逆に言えば、UQmobileも含めて「貸出賃料に差がない」という事になれば、MVNO各社は通信速度が遅い事の要因を自社内に求めるしか道がなくなってしまう事になります。

 

一方のUQmobileは、なぜ大量のTVCMを放送でき、常時高速の通信速度を提供できるのかについて反論しました。

 

 

まずは、回線の接続料において、KDDIから優遇措置は無いいことを述べ、また、ケイオプティコム(mineo)が主張する内容は妥当ではない事を述べた上で、「(UQmobileの)料金プランは全体として接続料金を回収できる水準」であるとしました。

これは、プラン料金等の設定で十分に接続料(回線賃料)を回収できているという非常に重要な発言です。

これは、UQmobileは他社MVNOの低料金化競争には参加せず、きちんと経費を賄える料金を設定しているという意味であり、言い換えれば、MVNO各社は自分たちで低料金競争をして採算度外視の料金を設定しておきながら、帯域を十分に確保する資金がないからと、UQmobileに優遇がある等と言うのは如何なものか?という意思に思えました。

 

 

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528158.pdf

 

さらに、UQコミュニケーションズはWiMAXの回線を保有するMNOとしての立場から、快適な通信速度を最重要視している企業であるとし、MVNOとしてのUQmobileにおいても、快適な通信速度がMVNOを選ぶユーザーにとって重要ファクターであり、UQコミュニケーションズのポリシーであるとしています。

 

また、重視する快適な通信速度を実現するために、月額1,000円以下の低料金は設定せず他社MVNOより割高な料金設定する事によって、前資料同様「プラン料金等の設定で十分に接続料を回収できている」事を主張しています。

 

TVCM放送やショップ展開に関しては、(WiMAX事業の収益を含め)UQコミュニケーションズの経営の中で、自身で適切に負担しているが、それは認知度向上や、ユーザーの安心感を得るための先行投資だとしています。

この一文は、安い安いと低料金競争をしているMVNOとは一線を画して他社より若干割高な料金で収益を確保しつつ、WiMAXも含めた会社事業で得られた収益を、TVCMやショップ展開に使っている事が、何か他社から文句を言われる筋合いがあるのか?といった至極当然の反論であったように筆者には感じられました。

 

確かに、本家auをはじめ、BIGLOBE・So-net・GMOなど多くのプロバイダーにWiMAX回線を提供するMNOの顔を持つUQコミュニケーションズは、他社MVNOとは資金力が違うのは当然ですし、それをどこに注力してもそれは他からとやかく言われる筋合いはないという主張は納得できるものです。

言い換えれば、他人の懐具合に口を挟むより、低料金競争で収益性を失って帯域増強を思うようにできない体制を何とかするのが先決では?と言っているように感じましたし、もっともな主張だという印象でした。

 

総務省検討会の結論とUQmobileの立場の変化

 

第4回まで各社の意見・申し立てを聞いた上で、第5回において論点のまとめ、第6回で報告書を取りまとめて終了した「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」は、UQmobileについて以下のように結論づけました。

 

●通信速度を速くするためには、MNOとの接続点における帯域幅を増大させる事が必要との指摘があった(報告書にこれを記載する以上、それを総務省も同意したと考えられます)。

●回線貸出料金の優遇・不公平に関しては現状は認められないが、貸出料金自体が高額であり、帯域を増やそうとすれば、MVNOの負担はそれにつれて増大することとなる。

●MVNO10社へのヒアリングの結果、利用者当たり契約帯域幅の値はUQmobileが最も大きかったが、それでも、mineoが指摘する程の大きな格差はなかった。

●WiMAXを利用したキャリアグリゲーションの提供を行っているが、WiMAXのMNOだからと言って、UQコミュニケーションズに対して何らかの優遇は行っていない。

●サブブランド・大手グループMVNOに対して「ミルク補給(ネットワーク提供に際しての事実上の金銭的補助)」の有無はデータが不足しており十分な検討が行われていないため、サービスの提供条件やグループ内取引において、不当な差別的取扱いや競争阻害等の不当な運営に当たるものがないか、検証を行う必要がある。

●本検証は、現行制度のもとで 可能なところから早急に開始すべきである。

 

と報告書にまとめました。

 

今後の監視・検討が必要としながらも、今回の検討会では具体的な優遇措置や不公平は見当たらず、帰省や抑制は行う事はできず、MVNOの思惑通りの結論には至らなかったという事であり、UQmobile包囲網はあまり成果を上げられずに終わったという事だと思います。

 

サブブランドや大手グループ会社、特に同じMVNOであるUQmobileに対して、何らかの規制等を期待したMVNO各社の思惑は外れ、逆に、通信速度を速くするには帯域確保しかないじゃないか…と改めて総務省サイドから念押しされてしまった格好です。

お上のご意向で、UQmobileとの通信速度差を何らかの形で埋めたかったのに、何ら成果を上げられなかったMVNOは、今後は自社として帯域確保の方向でサービスの向上を図るしかなくなった一方、UQmobileには「現状問題なし」との総務省のお墨付きが与えられた格好となり、けた外れの通信速度も致し方なし、大量のCM放送、ショップの急激な出店攻勢なども「他からとやかく言われる事ではない」という事で決着してしまいました。

総務省やMVNO各社が次の締めつけ策を思いつくまで、UQmobileは心置きなく事業展開できる事になったと言えそうです。

 

【余談】通信速度に纏わる焦りがmineoにあったのでは?

 

以下はあくまでも筆者の想像にすぎませんが…。

2018年5月現在、モバイル通信界隈でちょっとした議論になっているのが、mineoによる「通信の最適化」です。

これは、2018年4月10日以降、mineoで実施されている画像や音声、映像データを圧縮する事で輻輳時の通信の混雑を軽減しようとする対策ですが、mineoはこの施策をユーザーに事前告知や承諾を得ずに実施した事から大きな問題になっています。mineoによる「通信の最適化」については別記事が詳しいので、そちらを参照してください。

 

mineoの通信の最適化は何が問題だったのか考えてみよう」

 

この問題で、筆者は通信速度に纏わるmineoの焦りのようなものを感じてしまいます。

mineoは、ユーザー本位の姿勢が評価されユーザーの人気を得、100万回線を保有する大手MVNOになりましたが、その一方で膨大な通信に対して帯域(回線)が足りておらず、通信速度には苦慮している状況が続いています。

 

1日のうちでも朝夕・昼・夜間の通信が集中して混雑する(輻輳)時間帯に、通信速度の低下が著しく、快適通信の目安である1Mbpsを大きく下回る状況がずっと続いています。

 

 

https://kakuyasu-sim.jp/speed/mineo-d

 

こちらはmineoドコモ回線の2018年5月の通信速度の実測平均値です。

濃い実線と、薄い実線が重なる部分が多く、一見ではごく平均的な速度が出ているのかなと思いますが、注目すべきは、朝夕・昼12時台・夜間のユーザーが最もスマホ通信を利用する時間帯に、平均値を下回っていることです。

実質的にMVNO平均を上回っているのは深夜の時間帯のみの状態で、かなり苦しい状況である事がわかります。

 

 

https://kakuyasu-sim.jp/speed/mineo-a

 

こちらは、同じmineoのau回線の2018年5月の実測平均値です。

多くの時間帯でMVNO平均値を上回っており使い勝手が良さそうですが、ここでも混雑時簡帯に注目すると、朝・昼夕方~夜間で平均値を下回っている事がわかります。ドコモ回線よりはマシですが、それでもユーザーが最も多く使用する時間帯に平均以下の速度しか出ないというのは、シェアTOP5に入る人気MVNOとしては気になる処です。

 

調査会社のユーザー調査でも高い満足度と抜群の解約率の低さでその人気を推しはかる事が可能ですが、どうしても思うような通信速度を確保できない事がmineoの頭痛の種だったのではないかと思います。

一方で、同じau回線MVNOであるUQmobileは、大手キャリアを含めても1位2位を争う高速通信を実現しており、何かと比較対象とされており、その格差を何とかして埋めたいと思うのは当然の事だったと思います。

 

前述の総務省検討会においても、UQmobileとの格差を埋めるべく、KDDIグループ会社として優遇があるのではないか、あるとすれば不公平であり是正されるべき…という意見を述べていましたが、結果的には今後の検討課題とされたのみで、UQmobileに対して何らかの規制や制限は行われませんでした。

検討会の結果をUQmobile側から見れば、検討会でやり玉に上がる処を、逆に同一料金である事や、優遇措置はないと言う点についてKDDIと共に主張する事ができた事になります。

 

そうした状況下での「通信の最適化」実施には、筆者はどうしても通信速度が向上しない事、UQmobileとの格差が縮まらない事などで「焦り」があって、一刻も早い輻輳時の通信改善を行いたくて、ユーザーへの事前告知を怠ってしまったのではないかという気がしてなりません。

 

意地の悪い見方をすれば、ユーザー本位を掲げてユーザーとの対話を重視してきたmineoだけに、最適化を事前に告知し承諾を得ようとすれば、喧々諤々の意見が噴出する事は目に見えていますし、それを取りまとめるには相当の時間を要する事も容易に想像できます。それ故、確信犯的にあえて告知や承諾を省いたのではないかとさえ思えてきます。

この事でも状況はUQmobileに有利に働いているように見えます。

その是非はともかく、「通信の最適化」という方策自体にケチが付いた事で、快適な通信速度実現のためには、帯域増強しかないというKDDI・UQmobileの主張を追認する形になってしまったのではないかと思います。

その上で、自社のプラン料金を低価格競争させず、収益性を持った設定にしている事や、ユーザーの通信会社選択の重要ファクターである通信速度にこだわりをもって運営している事がUQmobileのメリットとしてクローズアップされてしまう結果になっているように見受けられます。

 

UQmobileの強さとは?

 

UQmobileのライバルと言えば、真っ先にY!mobileが思い浮かびますが、実はUQmobileのライバルはいわゆるサブブランド系として括られる1社には留まりません。大手キャリアに対しても、サブブランドY!mobileに対しても、全てのMVNOに対しても、各々に強い部分、負けない部分を持っていて「各個撃破」的に競争できる強さを持っていると感じます。

 

大手キャリアと同等の通信速度で割安な料金設定は脅威

以下は大手キャリアの平均的な料金と、それに対するUQmobileの料金との比較です。

NTTドコモ Au Softbank UQmobile
プラン カケホー

ライト

シンプル

プラン

スーパー

カケホ

ピタットプラン(5GB) スマ放題

ライト

おしゃべり

M(6GB)

データ高速

+通話プラン

契約期間 2年 2年 2年 2年 2年 2年 1年
基本料 1,700円 980円 1,700円 初年6,480円

翌年6,780円

1,700円 初年2,980円

翌年3,980円

平均3,480円

1,680円
データ 5,000円

(5GB)

5,000円

(5GB)

5,000円

(5GB)

5,000円

(5GB)

ネット接続 300円 300円 300円 300円
月額 7,000円 6,280円 7,000円 7,000円 3,480円 1,680円
2年総額 168,000円 150,720円 168,000円 159,120円 168,000円 83,520円 40,320円
かけ放題 5分 5分 5分 5分

価格は全て税別表示

 

基本的なプラン料金を比較してみると、大手キャリアに比べてUQmobileの料金が割安である事がわかります。

大手キャリアの格安プランは、データ容量が最少の場合の料金はインパクトがありますが、実際に使用する容量での比較では、やはり割高で、通常プランと大差ありません。

 

しかも、この料金差で通信速度は同等な上、UQmobileには大手キャリアにはない「低速モード」を提供しています。これは、ユーザーが任意で通信速度を200~300kbpsに変更できるもので、低速に設定している間の通信は無料で使える制度です。

大手キャリアの低速は、容量オーバー等の際に速度制限された128kbpsですが、UQmobileは200~300kbpsでメール送受信やSNS利用などでは充分実用的な速度が無料で利用できます。

さらに、1回の通話時間が長めのユーザは、かけ放題ではなく「無料通話(パック)」をチョイスする事も可能です。

 

反面、大手キャリアに敵わないのは店舗数です。

UQmobileはau併設店も含めて急速にショップを拡大していますが、それでも主要駅に大規模店を展開する大手キャリアには適いません。対面販売や、不具合や疑問点への対応などではまだまだ敵いません。

しかし、全体としてMVNOを選ぶユーザーはリテラシーが高い事が特徴であり、ショップがないから…という理由でUQmobileを選ばないユーザーは、大手キャリア以外を選ばない傾向にあるため、一定の棲み分けができていると考えられます。

その意味で、ショップが少ない事はUQmobileにとって重大なマイナス要素にはなり得ませんし、少ないながらも急速に店舗数を拡大している事は、近い将来、UQmobileの弱点が1つ減る事を意味していると思います。

 

以上から、UQmobileはKDDIグループ内ので格安通信を希望するユーザーの受け皿としての立場ですが、「大手並みの通信速度のMVNO」は、ドコモやSoftbankからユーザーを奪う事は十分可能であり、手強いライバルと言えそうです。

 

サブブランド系として直接のライバルとされるY!mobileとの違い

 

 

https://www.ymobile.jp/

 

一般的にY!mobileのライバルとして語られる事が多いUQmobileのプラン料金は、契約1年目に月額1,000円割引く点や、最少プランが月額1,980円から利用できる事、かけ放題を予めセットしたプラン構成などよく似ています。

それもそのはずで、当初、MVNO事業に消極的だったKDDIが、Softbankのサブブランドとして生まれたY!mobileの好調ぶりに刺激され、当時、au回線MVNO事業を行っていたKDDIイネイブラーと、WiMAX事業を展開していたUQコミュニケーションズを合体する事で強化・対抗させたMVNOサービスがUQmobileだからです。

 

しかし細かく見てみると、実はY!mobileとUQmobileには様々な違いがある事がわかります。

最も異なるのは「余ったパケットの繰越し」です。

Y!mobileでは契約容量を使い切らずに余らせても翌月に繰り越すことはできませんが、UQmobileでは翌月に繰越す事ができます。しかも、パケットが使用される順番は、「繰越し分」「契約データ」「追加購入分」なので、無駄なく使い切る事ができます。

また、無料で通信できる「低速モード」もUQmobileの大きな特徴です。

UQmobileでは通常200kbpsを、2年契約プランでは300kbpsに増強した低速通信を無料で使用する事ができる仕組みはY!mobileにはありません。

メール送受信やSNS利用など、あまり高速が必要ないコンテンツ利用時に低速モードにしておけば、限りある有料データ枠を温存する事ができます。

Y!mobile UQmobile
2年契約プラン S・M・L S・M・L
余ったデータ繰越し 不可
選べる通話サービス 10分かけ放題・完全かけ放題 5分かけ放題・無料通話パック
2年契約以外の通話プラン なし データ高速+通話プラン
低速モード なし 200kbps・300kbps

 

他にも、2年契約にセットされる通話サービスに「かけ放題」と「無料通話(パック)」がチョイスできたり、2年契約+自動更新ではないプラン(最低利用期間1年)も用意されている等、Y!mobileにはないMVNOらしさを兼ね備えている事で、ライバル対決はUQmobileに軍配が上がりそうです。

 

他社MVNOとの違い

すでに広く知られている事ですが、他社MVNOでは真似できない「常時高速通信」を実現しており、混雑時間帯でもほとんど速度低下を起こさない事はすでに述べましたが、SIMの基本性能とも言える通信速度で勝っている事は、UQmobileのかけがえのない大きなアドバンテージです。

 

また、MVNOでは取り扱う事ができない国内正規版iPhoneをラインナップ、家族割引・学生割引の採用、支払方法に口座振替が選べる等々、随所に大手キャリアグループである事が生かされています。

 

ライバルY!mobileに対してはMVNOらしさで差別化を図り、MVNOに対しては大手キャリアのグループ会社である事を活かしたサービスが大きなアドバンテージとなっています。

大手キャリアグループの顔、サブブランドの顔、MVNOの顔を使い分けるUQmobileは最はや無敵と言えるのかもしれません。

 

時代はUQmobile一強なのか!?まとめ

 

こうして様々な角度からUQmobileを見てみると、大手グループの立場や、MVNOらしさを生かし、如何にバランスよく各方面で強みを発揮しているかがよく分かります。

 

大手キャリアに対しては、同等の通信速度・品質なのに割安な料金設定で、品質を維持しつつ料金を下げたいユーザーを獲得し、大手キャリア色が強すぎるライバルY!mobileに対しては、MVNOとしてのサービスや姿勢がモノを言い、ほとんどのMVNOに対しては通信速度・品質で圧倒しつつ、通話サービス込みの料金設定は十分な競争力を持ち、さらに国内正規版iPhoneを取扱う等、KDDIグループである事の恩恵を発揮して明確な差別化をしています。

 

大手キャリアにも、サブブランドにも、全てのMVNOのUQmobile以外の通信会社に対してアドバンテージを持つUQmobileは「一強時代」を築きはじめているのでは?と思えてなりません。

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