2015年の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」及び、2016年の「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」につづきの流れを汲み、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」が2017年12月25日に開催されました。

この会合には、大手キャリアやMVNO等が参加し、MVNOを含めた移動体通信事業者間の公正な競争の促進を目的として、総務省が開催しています。

 

昨今では、Y!mobile/UQmobileのいわゆるサブブランド事業者に対して、一部のMVNO事業者から「不公平ではないのか?」といった提言がなされています。

その内容は、料金はMVNO並みに安いのに、通信速度は大手キャリア並みに速いのは、回線貸出料などで優遇措置を行っているからではないのか、不公平である…というものです。

MVNO側からは実証実験結果も含め、現状では同等の通信速度を実現するのは不可能であるとしています。

 

総務省としても事実確認も含め、もし大手キャリアがサブブランドや自社グループ会社に対して不公平な優遇措置を行っているのであれば是正したい…というのが本会合の目的の1つです。

昨年12月25日の第1回会合に続いて、2018年1月15日に行われた第2回会合には、回線を貸し出している側のKDDIと、当のUQmobileが出席し、懸念されている問題に対して意見を述べました。

 

今回は、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」台2回会合における発言から見えてくるUQmobileの考え方や姿勢というものを読み解いてみたいと思います。

 

MVNO側からの問題提起~通信速度に関する不公平格差とは

UQmobileは、同じ企業グループである立場を利用して、回線を借り受ける上で何らかの~例えば料金など~優遇措置を受けているのではないか、現状では公正な競争ができる状況ではない…というのがMVNO側の言い分です。

以下に、MVNO各社が述べた意見についてまとめます。

IIJの見解(提出資料より)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000526899.pdf

IIJの言い分は以下のようなものでした。

『MNOのサブブランドや、一部のMNOのグループ会社によるMVNOの通信速度等のサービス水準を踏まえると、MNOのデータ接続料の水準が、MNOとMVNO間の競争環境の公平性を担保できる水準であるかについて疑問は残る』(引用94文字)

 

これは、大手キャリア(MNO)や、そのサブブランド、もしくはグループ会社の通信速度の品質が高く、MVNOに回線が貸し出される現状の料金では、公平な競争環境を維持できるのか疑問だ…という事です。

つまり、もっと接続料を安くしてくれないと、大手キャリアやサブブランドと同じ土俵で公平な競争ができないので、もっと接続料をさげて欲しいという要望です。

 

サブブランドに関しては、特に不公平な優遇措置には言及していませんが、大手キャリア・サブブランド・グループ会社を一体と見た上での、対MVNO的な発言という印象です。

 

楽天モバイルの見解(提出資料より)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000526900.pdf

 

楽天モバイルの言い分は以下のようなものでした。

『MNOのサブブランドの品質を見ると、上位MVNOのさらに2~3倍の容量で設計しているのではないか。「音声卸料金」の基本料は700円近く、データと音声のコストを併せると、MVNOが1,980円では提供できない品質になっている。』(引用100文字)

 

これは、回線にお金をかけているはずの上位MVNOよりも、さらに多くの容量の回線量で設計しているようだが、音声通話の料金との合算で1,980円という料金は、MVNOとしては到底実現できない水準だという事です。

 

サブブランド・グループ会社を直接は非難していませんが、暗に、そのサービス水準で月額1,980円を実現できるには、何か特殊な事情があるのではないか…と言う事を匂わせているような印象です。

 

ケイ・オプティコム(mineo)の見解(提出資料より)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000527202.pdf

 

ケイ・オプティコムの言い分は以下のようなものでした。

『サブブランド等が、格安スマホ並みの料金で、常時高速なサービスを積極販売し、MVNOとの料金差が縮小、速度の差は顕著になる等、MVNOが競争上劣後する傾向』にあり、

『弊社において、サブブランドの料金で同程度の速度を実現できるかを検証した結果、弊社では到底実現できないレベルと確認』できたとしています。(引用130文字)

 

今後の課題として、

『料金と速度の関係性に関し、サブブランド/MVNO間の差異の妥当性を検証し、問題がある場合は、公正競争確保のための対応を速やかに検討すべきではないか』としています。(引用71文字)

 

ここでも、MVNOでは実現できない料金と通信速度の水準だとして、暗に、サブブランド・グループ会社に対して何らかの優遇措置があるからではないのかとし、その水準の妥当性を検証すべきとしています。

MVNO側の意見まとめ

上記のMVNO各社の意見をまとめると、以下のようになります。

1.MNOサブブランドやグループ会社の料金は、MVNO並みの設定になっている(つまり安い)

2.通信速度は、MVNOとは大きな差異があり、混雑時間帯においても常時高速である

3.各社で検証した結果、同様の料金で、同様の通信速度は到底実現できるものではない

ここからは、暗に…という事で筆者が読み取ったものですが、

4.現在の料金と通信速度を実現できるのは、MNOからの何らかの優遇措置があるのではないか

5.現状のままでは、公平な競争をすることは不可能である

6.MNOサブブランド・グループ会社と、MVNO間の差異の妥当性を検証すべき

7.妥当性に問題があるのであれば、速やかに是正が行われるべきである

問題の焦点は、

「UQmobileは、キャリアからの優遇措置を受けているのか」

「優遇措置を受けているからこそ実現できる料金であり、通信速度なのか」

に絞られるのではないかと思います。

 

KDDI/au及びUQmobileの意見

そもそも…の話しをすれば、厳密に言えばUQmobileはサブブランドではありません。

UQmobileを運営するUQコミュニケーションズは、ワイヤレスブロードバンド(WiMAX)を提供する通信会社として設立され、2015年10月に「KDDIバリューイネイブラー」との合併により、4GLTEのMVNO・MVNE事業を継承した経緯があります。

現在は、回線を所有するKDDIグループに属する「子会社MVNO」というイメージが強いですが、元々は、WiMAX回線を保有するMNOであり、KDDIにも回線を貸し出す立場にあります。

また、グループ以外にもWiMAX回線を貸し出しており、「○○WiMAX」という無線通信サービスは数多く存在しています。

今回の問題を考えるに当たって、この事はまず念頭に置いて考えるべき重要なファクターではないかと思います。

それは、UQコミュニケーションズは、収益源がMVNO事業だけではないという事です。

 

討論会におけるKDDIの反論

前項のようなMVNO側からの意見に対し、総務省のヒアリングにおいてKDDI/auが提出した資料によれば、懸念となっている回線貸出しにおける優遇措置に関しては、UQmobileを含むすべての「卸先事業者」に対して公平であると述べています。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528157.pdf

 

また、MVNOへの提供条件は、「卸先事業者間で同一金額」となっており、「データ通信料は10Mbpsごとに月額料金が設定」されている事は、既に総務省が確認済みであるとしています。

 

さらに、同条件でも通信速度の差が生じるのは、MNOとMVNOを繋ぐPOI(Point Of Interface=相互接続点)の太さ(いわゆる回線の太さ=帯域幅)に影響されるため、UQmobileの通信速度が速く、MVNOの通信速度が遅いのは各社の考え方の違いだとも述べています。

つまり、POIを太くしようとすれば当然コストが嵩む訳で、低廉な料金を優先しPOIを最小限で契約する場合と、通信速度優先でコストをかけた場合では、自ずと通信速度には差が生じるので、その辺りは「各社の運用方針次第」であるとしています(MNO側の問題ではないという意味)。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528157.pdf

 

UQmobileの反論

ここで思い出して欲しいのが、前述の「UQコミュニケーションズ」には「WiMAX」による収益があるという事です。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000528158.pdf

 

UQmobileが提出した資料では、WiMAXはauを含む56社のMVNOに提供中であるとし、

(1)WiMAX事業においても快適な通信速度の提供を重要視している事から、UQmobileでもユーザーにとって通信速度は重要な選択ファクタと捉え、一定の通信速度を確保する事がポリシーである。

(2)TVCMやショップ展開にかかるコストは、UQコミュニケーションズの経営内において負担~つまりWiMAXの収益を当てていると受け取れる~しており、認知度向上や安心感醸成のための先行投資である。

と述べています。

つまり、「グループ会社である事による優遇措置はなく」、「自社で得た収益を自社の利益のために先行投資も含め、適切に負担している」のであるから、MVNO各社が指摘するような事実はない…と反論しています。

 

特に「mineo」のケイ・オプティコムに対しては名指しで「ケイ・オプティコム殿によるトライアルの『全ユーザがヘビーユーザ」との前提は現実の利用状況と異なっており、弊社はそのような前提の帯域設定はしていない』と強く反論しています。(引用73文字)

 

「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」は、2018年1月30日に行われる第4回討論会でどのような議論がなされ、総務省が最終的にどのような結論を出すのかに注目ですが、個人的には、KDDI・au及びUQコミュニケーションズの言い分を額面通りに受け取れば、総務省も何ら文句のつけようがないように感じます。

もし、MVNO各社の言う「不公平な優遇措置」などないのに、UQmobileやY!mobileに何らかの規制が入るようであれば、果たしてそれはユーザーのための規制なのだろうかという疑念が湧きます。

MVNOが指摘したように、「安くて速い」というユーザーには願ってもないサービスを、他社が不公平だと言うので規制する…というのでは、それはユーザーではなくMVNOのための施策に他なりません。

総務省には、ユーザーが不利益を被らないような賢明な判断を望みたいと思います。

 

討論会から見えてきたUQmobileの考え方

「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でUQコミュニケーションズが述べた事は、ユーザーサイドから見てみると非常に興味深いポイントが含まれていました。

 

≪一定の通信速度を維持するのはポリシーである≫

これは常時高速な通信速度を求めるユーザーから見れば、非常に心強い発言です。

企業ポリシーとして通信速度は一定の速さを維持します…と約束しているようなものだからです。

 

実は、UQmobileは過去にもそういった発言をした事例があり、例えば「2016年秋冬発表会」では、野坂社長が「UQは速度にこだわりたい」と述べ、それまで時として不安定さを見せていたUQの通信速度は劇的に改善し、現在のような常時高速の状態を維持するようになった経緯があります。

 

これほど明確に通信速度の維持を謳っている事業者は他にありませんので、1ユーザーとしてMVNOを選択する際には大きな選択理由になるのではないかと思います。

料金プランの内容(容量等)や料金の多寡、カウントフリーなどのオプション等、MVNOを選ぶ際には気になる事柄が様々ありますが、割安な料金でも、自分にぴったりなデータ容量でも、動画視聴がカウントされなくても、基本性能である通信速度が遅いのではどんなコンテンツも快適に利用する事はできません。

そうした意味で、全ての基本は通信速度だと考えると、UQmobileの通信速度にこだわる姿勢はMVNOチョイスの場面で非常に多いなファクターとなるのではないでしょうか。

 

今回は、総務省が開催している「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でのMVNO各社の意見や、それに対するKDDIやUQコミュニケーションズの反論の内容をチェックしてみました。

そこから見えてきたものは、UQmobileの「通信速度は一定の速さを維持する」という基本的な姿勢であり、ユーザーとしてUQmobileを利用した場合でも、混在つ時間帯に速度低下を起こすような状態には陥らないだろうという安心感を得る事ができるように思いました。

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